オレンジの香り
2005年 02月 25日
すれ違う人から懐かしい香りが漂うとき
一瞬にしてその香りを纏っていた人がいるような気がしたり
思い出の時間に返るような気がすることがある。
ボーイフレンドとぎくしゃくするようになった苦々しい気持ち
別れる時の長い沈黙、そして楽しかった頃のこと。
顔はもう思い出せないのに香りだけは体が覚えている。
この歳まで、流行のフレグランスは一通り使った。
シャネルのシリーズも新しい香りが出るたびに使ってみたし
あの一世風靡したプワゾンも使ったこともあった。
一時期はティファニーの香りに魅了されてすっかりその香りが
馴染むくらいに使ってみたりした。
背伸びしたかった頃は、好みよりもイメージで選んでいたような気がする。
だんだんと濃い香りはつけなくなり、妊娠と出産後しばらくは
フレグランスはあまりつけないようになった。
香りでなにかを選ぶとき、たとえば洗剤とか石けんとか
アロマオイルも真っ先に無くなるのはいつもオレンジで
私にとってその香りは癒され、元気が出る。
初めてシャワーコロンというものを買った中学生の時にも
シトラス系を買ったのを覚えているので
基本的には柑橘系の香りが好きなんだと思う。
戻るべきところへ戻って落ち着いたということなのかもしれない。
そんな今の心境にぴったりだったのがこのperfume oil
アルコールではなくてオイルに香りが溶け込んでいる。
温かみのあるオレンジの香りがする。
ハワイのインテリア雑貨の店の片隅に置いてあったもの。
teranovaというメーカーらしく日本では売られていないらしい。
オイルなのと香水並みの濃度なので夏はさすがに使えない。
夏は代わりにこちらの水のような一番軽いコロンを使っていて
オレンジとグレープフルーツをブレンドした軽い香り。
香りは姿は無くとも強烈に存在を残すもの。
私の知らないうちに、誰かがオレンジの香りと共に
私を思い出すこともあるのかもしれない。
キッチンでオレンジを切るときに漂う自然なオレンジの香りのように
どんな人工的なオレンジよりも本当は一番身につけていたい香りなのだけれど・・。